整備に行き詰った方、分からない方、裏ワザなどみんなで教え合ったり助け合ったり なんでもどうぞ。
前スレ
http://forum.bikechannel.info/test/read.cgi/bikech/1552009569/
書いていきますね。
腰上編。
ピストンリングと、ピストンのリング溝の磨耗を測定。
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https://light.dotup.org/uploda/light.dotup.org644290.jpg
各ピストンリングの厚みはマイクロメーターで、
円周の磨耗は、シリンダーの平均的な箇所に
入れて隙間の開きをシックネスゲージで測定します。
厚みはばっちり。開きは標準をほんの少し外してますが、
ボアが使用限度内での標準値を少しオーバーしてるので、
こんなものかなという値でした。もちろん限度値内にはしっかり
入ってます。
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ピストンのリング溝も計測。 ピストンリングは微妙な隙間で
上限に動くことで潤滑(リング自体も)と気密を確保しますので
ここの隙間がオーバーするとマトモに仕事しなくなります。
結構ここ意味が重要ですので、興味ある方は検索してみてね。
つづいて、ボーリング屋さんでシートカットとバルブフェイスを
研磨してもらった排気側の摺り合わせ。
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バルブステム(軸)にハンマーオイル(モリブデンオイル)を
つけて、バルブコンパウンドの細目を当たり面にちょいちょいと
小さいドライバーとかで乗っけて、タコ棒すいつけて、回しつつ
カンカン当てていきます。 するとあるところで、吸い付くように
感触が変わって音も変わるので、そんなところで、
一旦バルブコンパウンドを綺麗に除去して、光明丹つけて当たりの
チェックをします。
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綺麗に当たるようになりました。 処理前は酷かった、、、
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各バルブ摺り合わせとチェック完了。フレッシュな感じになったです
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錆びたエキパイのスタッドボルトは抜き取ったので、新品を
植えていきます。 焼き付き防止にスレッドコンパウンドを塗布し
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スタッドボルトインストーラーをセット。 なければダブルナット
でも出来ますが、専用工具使うとすごい楽になります。
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専用工具がボルトの頭のような感じになるので、そのまま
トルクレンチで締められます。
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錆び錆びスタッドボルトが新品になると気分がいいです。
スレッドコンパウンド塗布もあわせて、
次回抜けずに折れる心配も解消されます。予防的交換の意味合い。
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バルブステムシールはもちろん交換。これはヘッドあけたら
必ず交換するくらいしていいパーツです。 バルブの軸を機械的に
締め付けてオイルが出て行かないようにする重要パーツ。
これがダメになるとバルブガイドからオイルが燃焼室に出て行き
いわゆる「オイル下がり」が発生します。
https://light.dotup.org/uploda/light.dotup.org644303.jpg
分解時に除去してますが、抜くときは、プライヤーとかでグイっと
ひっぱれば抜けます。再利用はもちろん不可。
装着は、手でグイっと押し込むとカクッとはまります。
組み付け時に指定オイルを塗布しながら行います。通常は
エンジンオイルでいいと思いますが、ヤマハだとモリブデンオイルを
塗布せよとあります。 あまりつけると、燃焼ガスで固いカーボン
になると思うので、どうなのかな、今のところいい感じなので、
私はエーゼットのハンマーオイルを好んで使っています。
<続く>
バルブステムシールを付けたら、バルブを戻します。
普通、バルブはだいたいこんな感じのパーツで構成されてます。
https://light.dotup.org/uploda/light.dotup.org644308.jpg
大きいリングは、バルブスプリングの台座。ヘッドはアルミなので
これが間に入ってる。 小さいリングは、その上の半月断面のテーパー
の楔(コレット、コッターピン)とのコンビで、バルブの頭の溝に
噛みこんで、バルブを固定します。 スプリングの反力で動いている
間も押さえられてる仕組みです。
あれ?バルブスプリングが2つもありますよね、、
https://light.dotup.org/uploda/light.dotup.org644309.jpg
これは、径の大きいスプリングの内側にもう1つスプリングが入る
ダブルスプリング。 どういう事かというと、それぞれの共振が
あったりするので、2つ入れることで、それを抑える意味合いが
あったかと思います。 あと、スプリングのピッチが片側に
寄ってますが、これも意味があります。 密なほうがヘッド側です。
よく伸び縮みするところと、あまり伸び縮みしないところが
どこにくるかを考えると、ナルホドと思うかな。
https://light.dotup.org/uploda/light.dotup.org644310.jpg
バルブを通し、スプリングも通し、固定リングを通したら、
バルブスプリングコンプレッサーって専用工具でスプリングを
縮めて、バルブステム(軸)の頭の溝が出るようにします。
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その状態で、固定リングと、バルブステムの間にコッターピンを
入れて、2分割されたコッターピンがうまく固定リングの凹と
バルブステムの溝に噛むように配置できたら、バルブスプリング
コンプレッサーを戻していくと、、、
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こんな具合に固定されるです。 この車種たった4箇所のバルブ
だけなので、楽です。20バルブの時は泣きそうになりました。
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バルブ組み付け完了。 このあと、バルブにマークしてある
ペイントをシンナーで消して、、
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組み付けたら、バルブステムの頭を、木の棒とかでハンマーを
使ってコンコンと叩いて、コッターピンをなじませます。
これやらないと、中途半端に勘合してて、突然外れたりして
大ダメージになるので、忘れずしないとです。 地味な事ですが。
で、今回片側に焼き付きが酷かった理由はこれです。
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カムシャフトの乗っかる部分の両端に、オイルが流れる細い溝が
あるのですが、これが片側やたらと細い。反対側も細いですが。
さらに
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カムシャフトのエンドキャップをつけると、こんなに狭くなる。
ちょびっと設計に難ありな気がします。 今回入手した中古ヘッド
も、この溝、液体パッキンで埋まってました。 そこで、、、
https://light.dotup.org/uploda/light.dotup.org644331.jpg
リューターで削って流路を広げました。
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これで幾分流れはよくなると思います。
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加工後、あわせ面をほんの軽くならして密着を良くします。
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ヘッドカバー側に、ロッカーアームとロッカーシャフトを
元あった位置に戻していきます。 組み付け前に、ロッカーアームの
バルブクリアランス調整用のボルトとナットは万力とかに木片
かませて挟んでゆるめておきます。(ネジロックですさまじく
固く固定されていますので) 青いのは例によってワコーズの
組み付けペーストです。
<続く>
手も足もでなくなります。 もちろん絶版ですが、いろんな方法でなんとか
新品のヘッドガスケットを入手しました。 が、、、前回剥がしたのが
綺麗に取れたので捨てるのは勿体無い。 メタルガスケットではなく、
時代を感じるアスベストのコンポジット。 パーツの温存を狙い再利用。
ホントはしないほうがいいのは分かってますが、しちゃいます。
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金属のカラー部分はマスクして、
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パーマテックスのカッパースプレーガスケットを塗布します。
これは乾かず、ねばっこくなった状態で使用します。
次にピストンの組み付け。
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順番と裏表、リングの開きの位置を指定どおりになるように
ピストンリングを装着。 安物のピストンリングプライヤーでも、
素手よりかなり楽ですので、あるといいかと思います。
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自作ピストンリングコンプレッサー。 超使いやすいのでオススメ。
ボトル入りガムの容器をカットしたものと、太めの再利用可のタイラップ。
これでピストンリングを圧縮します。
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こんな感じに。 ピストンリング圧縮して、ピストンの側面とツライチ
にしておかないと、シリンダーに差し込めないので、必要な工具です。
短気筒なら手でもやれますが、非常にイラつくので専用工具あったほうが
いいですね。
いよいよシリンダー入れていきます。
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この車種のサービスマニュアルでは2気筒の高さを揃えて一気にと
ありますが、凄いやりにくいです。 ですので、普通に、片方ずつ。
なぜ一気にかというと、指定のピストンリングコンプレッサーの厚みでは
工具が抜き出せなくなるから。 ですがこのインチキ工具は大丈夫。
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隙間から抜き取りが楽々。 片方入れたら、クランクを回して
反対側を同様に作業。さらに隙間が狭くなりますが柔らかい専用工具
なのでキズつけず簡単に抜き取りができるのがミソです。
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両方のピストンリングまでシリンダーに収まりました。
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あとはシュコンと入ります。 シリンダー合体完了。
オイルをたらしてクランクを回して動作を確認します。
滑らかに動くのを確認したら
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先ほど再生したヘッドガスケットのマスキングを除去して、
あわせ面に装着。 オイル流路のOリングとかも忘れずに。
次はヘッドを合体。
トルクレンチで均一にしめたらカムシャフトまわり。
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中古についてきたカムシャフトは軽くラッピングしてあります。
綺麗になりました。
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吊っておいたタイミングチェーンにカムシャフトを通して、サービス
マニュアルをみながらクランクの上死点とか、各部マーキングを合わせて
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タイミングチェーンテンショナーをとりつけタイミングチェーンを
張ります。 その前にテンショナーも分解清掃し、Oリングはパリパリに
割れてしまったので交換しています。 このタイプのテンショナーは
取付け前にスプリングを奥の勘合にはまるまで押し込んで(手が痛いです)
末端のボルトで縮んだ状態で一旦固定し、エンジンに取り付けてから
末端のボルトをゆるめると、縮めてあったスプリングが開放されて
チェーンガイドを押してくれます。 その後、蓋としてそのボルトを戻し
ここは完了。 この手順が載ってないサービスマニュアルとかもあります。
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これでロッカーアームのついたヘッドカバーで蓋をできます。
オイル流路をふさがないよう液状ガスケットを塗布して取付け。
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エンジンっぽくなりました。 ヘッドカバーも指定の順番で複数回に
わけてトルクレンチで均一に締めていきます。
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クランクをレンチで回してそれぞれの上死点を出して、バルブクリアランス
を調整します。 この車種は専用のシックネスゲージがないと凄まじく
やりにくいので、昔に手に入れてました。 通・止めのゲージで、
薄いほうは通っていいが、厚いほうは通ってはいけないという合わせかた
になるような厚みの組み合わせになっています。 さすが専用品
楽です。
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マフラーは錆び錆びなのを以前なおして、知り合いの整備屋で溶接で
つないで直してもらったやつ。 また錆びが結構なものなので、ワイヤー
ブラシで除去して、耐熱ブラックでさび止め。この車種燃焼効率が良くて
触媒とかないけどマフラーから水が出まくるんで錆びやすいです。
各部マフラーガスケットを交換して装着。
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タンクとサイドカバーとか取り付けて完成!
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この車体、実は自家塗装です。 缶スプレーで素人くさいのですが^^;
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随分昔に塗ったんだなぁ、、ペイント日時書いてました。
当時のワタクシは再びこれを見ると思ったのだろうか、、、
実際見ることになりましたが。
あとは、ハーネス全部ひっぺがして巻きなおしたり、細かいレストアです。
連発で失礼しました。
その後走り出したらびっくりするくらいの押し出し感。滑らかに
グリグリ加速します。 いやーー前よりパワフルになってよかった。
部品の手配とかが泣けてきましたが、不死鳥のごとく蘇りました。
応援してくださったくま氏をはじめ皆様ありがとうございました。
整備、やりはじめると凄い楽しいし、愛着もわくので、お仲間増えたら
嬉しいなと思って、詳細に書いてみました。
でわでわ
前よりパワフルになったようで何よりです。
達成感ありそうだなぁ
掲載元:https://forum.bikechannel.info/test/read.cgi/bikech/1577603520/
レスほしいお(pq´ω`)ミジモジ
腰下編になるのかなぁ
の方も、リンク張っときますねー(゚∀゚)アヒャ
チュー氏のGPzって・・・
あと、何十年のれちゃうんでしょうかw
それこそ、ヘッドやシリンダー、クランクケースが
真っ二つに割れて、流用品が出てこなくなるまで
乗り続けてそうな気がするのは、気のせいでしょうかね(^p^)
バルブとか、その他も・・・
他車種流用とか、加工とかで何とかしちゃいそうな予感がw
GPZ「クソ!ここまで重症ならリタイヤ出来ると思ってたのに」